2020年2月19日水曜日

事例検討会がすきです

先日、国分寺市内の訪問介護事業所有志が集まり、事例検討会を行いました。
昨年の秋頃から、2カ月に1回のペースで行っています。
事例を提供する人は個人が特定されないようにすること、参加する人は会の中で知り得た情報は口外しないということを確認して、スタートします。

仕事のあとに集まって、事例検討会。
まず発表者が事例を説明し、抱えている課題を提示。
集まっている人たちからの質問を通してその事例についての理解を深めながら、課題をほぐしたり解決していくための視点や案を探していきます。

終わったら、みんなでご飯。
でもだいたい、ご飯を食べている最中もアーダコーダが続き、
時間が来るとパーッと解散!

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わたしたちが初めて事例検討会を経験したのは、
国分寺市の万葉の里で行われている高次脳機能障害に関する研修にお誘いいただいた時のこと。

ある方のケアで知り合った事業所の方から、「今度事例検討会で発表をするので、よかったら来ませんか?」とお知らせをいただきました。


いろいろな職種の方が集まって、「この方(事例の中の当事者の方、そのご家族)が地域でその人らしく暮らすために、わたしたちはどんなことができるか」ということを真剣に話し合う空気。
その帰り道の興奮は今でも忘れられません。

会場を出たときに「わたしたち、もっと頑張れることがあるような気がする。」と、
エネルギーが満たされている感じがありました。

何回か参加させていただく機会を経て、「こういうこと、介護でもできないかな」と話し合い、関心を持ってくださいそうな方へ声をかけて、始めてみたのが私たち流の「事例検討会」です。

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1月に開催した時、事例を発表してくださった方から、
「今回事例を提供したケアは困難に感じる要素が多く、
ケアを成立させるためにどうしたらいいか(技術や手順、方法)、ということに頭が向いていた。
でもみなさんと話をしながら、こういうこと(その方の気持ち、信頼関係)を考えるのを忘れていたかもな…」というお話が最後にでました。
(言葉通りではないので、おっしゃっていたこととズレがあるかも。ごめんなさい!)


そうなんです。
事例検討会のいいところは、答えが出るところではなく、
自分が作ってしまった枠に気付いたり、一生懸命になりすぎて見えなくなっている死角に気付いたり、新しい捉え方を発見したりするところだと思います。

それぞれの経験を少しずつ持ち合って、分け合う。
一つひとつのケアが、似たように見えても全く異なっていますし、同じようなケアをしても相手の方の状況や環境によっても、対応するヘルパーによっても、日によっても、タイミングによっても結果は全く異なるもの。
仲間が集まると、経験値はぐんとひろがります。

尊敬できる先輩や仲間がいる国分寺で、事業所を開いていることを誇りに思う今日この頃です。

2020年1月31日金曜日

気持ちのいい瞬間


訪問していて「気持ちがいいな」と思う瞬間がある。
それがどんな時なのがうまく言葉になっていないが、わたしがいない、スーッと。そんな感じの瞬間だ。

例えば今日は、
言葉数のとても少ない、時々時間を行き来するAさんのお手洗いのお手伝いを終えて、ズボンを上げている時。
ズボンのゴムが少しきつくて、力を入れてズボンを上げるのでふらつきはしないかと心配するのだけど、Aさんはびくともしない。(わたしたちの事業所で訪問している方の中で、最高齢)
ピリピリと軽い音がして、その後何かAさんが言ったのだけど、よく聞こえなかった。
笑って流そうとしてしまって、いやいやと思いなおして、「何でしたか?」と聞きなおしたら
「おーなーらー。出たのっ!」
とおっしゃって、とても軽く。そして、いつもの動作に戻られた。


「オナラ出ちゃったわ、ごめんなさいね。」でもいいし、
「…(聞こえないふり)」でも全くもっていいのだけど、
あまり詳しくは説明しません。お天気のよさも相まって、いいなと思った。


ここのところ、わたし自身はの話ですが、ありがとうと言ってもらえることの価値をあまり重視していないような気がする。ありがとうと言ってもらえるのはありがたい。でも一方で、そのことを目指していないというか、待っていない気がする。
(もちろん、相手のことを考えないという意味ではなく)

2020年1月23日木曜日

押しても引いてもダメなら、さすってみろ!


先日、「やめて!」という声で目が覚めた。
寝ぼけて、隣に寝ていた家族のお腹をさすっていたようだ。全く覚えていない。
申し訳ないけど、覚えていないのであまり申し訳ない気持ちになれなかった。


ケアの一つとして、摘便を行う看護師さんのサポートをすることがあった。
 ◇摘便 てきべん
  肛門から指を入れ、便を摘出する医療行為。
  直腸内に便がたまり、自然排便できないときに行う。(Wikipediaより)

看護師さんがお腹をマッサージする様子を見ているとやり方は人それぞれで、力を入れてお腹を絞るようにされる方法もあれば、押してほぐすように見えるような方法ある。


そして、ある看護師さんはゴム手袋を外して、両手で揺らすようにお腹をさすっていた。
見ているだけでも気持ちが良さそうだった。
「皮膚のすぐ下にリンパが流れているし、腸は自分で動けるので、このくらいでいいって私も習ったの~」と教えてくださった。

その方が摘便をする日は、
「顔を見るだけでお通じが出そうな気がする」と利用者さんがいい、
看護師さんは「やだー!」と笑い、わたしもつられて肩の力が抜けていた。
そして何より、気持ちのいいお通じを出されることが多かった(ように感じた)。



ということを、家族の悲鳴を聞いて思い出した。
そして、寝ぼけ半分で、
「押しても引いてもダメならさすってみろ、ってことかな」と思った。
力ずくで何かを動かそうとするのではなくて、さするように流れを整えたりきっかけを作ったりリラックスさせる(する)ことで自然と動き出す状況をつくる。

というのは、こじつけかな。

2019年12月24日火曜日

目標


ことりに訪れる出会いのうち、「ブログを読んでいます」と言われることが多くあります。本当にありがたいことです。
(全体のビューの数はそう多くない、こっそりとしたブログなのによく見つけてくださったなという気持ちと、見てくださっている方の中でことりに訪れてくださる方が多いのだということへの驚きで胸がいっぱいです)

だったらやっぱり、更新していかないといけないなと思い、書いては止まり、止まっては書き、そして今日もこうやって書き始めてみました。

介護のことは身近でないけど、老いることや年を重ねること、そういう方と一緒に暮らしていくことについては少し身近に感じられる。この場が少しでもそういうきっかけになったらうれしいなと思います。小学生のような文章ですね~



それから、心のどこかでは、若かりし日の自分に向けて書いているところもあります。

というのも、
仕事に就くことが人生の視界に入ってきた頃、「福祉関係が向いているんじゃない?」と言われることが何度かありました。

その頃わたしはまちづくりの仕事に就きたいと思っていました。そこに住んでいる人が自分の暮らすまちを愛して自慢したくなるような、商業施設があるからじゃなくまちに誇りを持てるような関わり方ができるような、そんなまちを育てる仕事に就きたいと、メラメラしていました。若かったんです。

だから、「福祉」という言葉を聞いて「なんでそんなつまらない仕事をしないといけないの?もっとクリエイティブな仕事をするんだ!」などと、生意気な鼻息をフンフンとやっていたわけです。

福祉のお仕事をされている、すてきな大人の方に出会う機会にも恵まれていたにも関わらず、です。


それから数年が経ち、母の介護・看取りを経て、こうやってここにいるわけですが。 

先日、大好きなおばあちゃまに「あなたのように色々な経験をした人が、こういう仕事に向いているんだろうね。」という言葉をいただきました。とてもうれしかったです。

実際にサービスをお届けしている方からの言葉であること、過去をぐるっと肯定してもらえたように感じたこと、そして自分がこの仕事を愛していることも加わって、「あぁ、わたしもこんな言葉を言えるようなおばあちゃんになりたい」と心底思いました。

介護者失格だなと思うことも多々ありますが、この言葉に見合うようなヘルパーになる!という、新たな目標ができました。

2019年12月16日月曜日

研修に参加してきました【その2】国分寺には、介護道場がある!

訪問介護ことりでは、現在ヘルパーさんを大募集中です。
特に、来年の3月までに働き始めることのできる方、大歓迎です!

お気軽にお問い合わせくださいませ。
042-316-8547
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ヘルパーの仕事をはじめて間もない頃。
「現場に出てから通える学校はないものかっ!」と、あたふたしていました。

もちろん、
事業所の先輩ヘルパーさんは相談に乗ってくださるし、練習にも付き合ってくださるので、訪問する時の不安というのはなかったのですが、

自分の経験値が圧倒的に少ない中で、いいケアをするためには自主練が必要、自分で勉強(実技含め)する時間が必要と切に感じていたからです。

何度かネットで検索してました。
そういう、現場に出てから練習させてもらえる学校がないか。
でも、その時は見つかりませんでした…。ぐすん。


今のわたしが、当時のわたしに言えることがあるとしたら、
「国分寺には、介護道場があるよ?」です。
https://duskin-kaigo.jp/lecture/

介護道場の様子はこちら
https://ameblo.jp/kaigodoujou/

主催は、たまサービス提供責任者世話人会。
ダスキンさんに会場をお借りして、月に一度、2時間の研修です。
毎月異なるテーマで、とても具体的な内容。

今年はお声をかけていただき、世話人のひとりとして参加させていただいています。
世話人の方と受付をしながら、ケアの相談をさせていただいたり、お話したりする時間がまたいいんです。(国分寺にはすばらしいヘルパーさんがたくさんいる!)

ヘルパー歴を重ねると、先の理由とはまた別に、研修に出て行く必要性を感じます。
自分(たち)の思い込みや無知を知るためには、勉強することが必要ですし、
1軒1軒それぞれ、同じ疾患をお持ちだったとしても、お困りのことは異なっていたり、気をつけるべきことが変わってくるからです。


12/2(月)は、
「わたしたちにできること・できないこと」というテーマで、事例検討を複数行いました。
介護保険を利用された方は感じていると思うのですが、「できること・できないこと」が細かく決まっています。そういうときには、「じゃあこれはどうなの?」ということが必ず発生するものですよね。グレーゾーン。

この日は、そのグレーゾーンに焦点をあて、
参加者(みなさん介護の現場に携わる方たち。訪問、デイなど様々です。)の日頃のモヤモヤに講師の長尾先生がスパッと明確に答えてくださる、冬の空のようにすっきりと晴れ渡る2時間でした。


1つ前の記事でご報告したときの「事例検討」とはまた違って、これは「答えのある事例検討」。
ただ、その答えにどうやって辿り着いたらいいのかわからないこともあり、
学校で習った時点から制度が変わっている部分もあり、
事業所ごとで基準が異なる部分もあり、

自分が疑問に思っていたことだけでなく、ほかの方の疑問を聞く中で得られる情報もありました。
「自己流にならず、根拠のあるケアをする」ということが、ヘルパーの仕事には求められます。こうやって勉強を重ねることで、結果訪問先の方々の気持ちに添ったケアにつながっていきます。

あー国分寺に介護道場があって、よかった!

2019年12月10日火曜日

研修に参加してきました【その1】在宅医療推進の会

訪問介護ことりでは、現在ヘルパーさんを大募集中です!
特に、来年の3月までに働き始めることのできる方、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせくださいませ。
042-316-8547
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先日参加した研修にとても心がワクワクしたので、簡単ですが記録として残しておきたいと思います。

今回は【その1】として、
11/30にいずみプラザで開催された「在宅医療推進の会」。
国分寺市と国分寺市医師会が共催の研修です。
刺激たっぷりの講演と、多職種連携を目指したグループワークがありました。

この講演がとてもパワフルで、すっかり圧倒されてしまいました。
講師は立川市の大山団地 自治会相談役の佐藤良子さん。
立川、近いのにわたしは全然存じ上げず…こんな団地があるのかと
びっくりするようなお話、たくさんあったのですが、

例えば、
・24時間相談窓口のある自治会
・両隣に声をかけあう住民のみなさん
というだけでも、「どうやってそこに辿り着いたの?!」と思わずにいられません。
メモ取りっぱなしです。

団地(1600世帯!)から孤独死をゼロにすることを目指し、20年かけて積み上げてこられた活動と熱量に、会場全体の温度が上がったように感じました。
休み時間は、あちこちで「すごかったねー」という声が聞こえていました。


そして、後半はグループワーク。
各グループ、共通のテーマで事例検討をおこないます。

わたしの参加したグループのメンバーは、
お医者さん、薬剤師さん、保健師さん、地域包括支援センターの職員さん、訪問歯科の栄養管理士さん、そしてわたし訪問介護へルパー。

このグループワーク、とても貴重な機会でして。
仕事の上でお会いする時には、ゆっくり言葉を交わすことはありませんし、どんな考え方でいらっしゃるのかを伺う機会もありません。でも、その職種にしか見えない景色・その方だから気付けた景色というのがあるはずで、そういった意味で事例検討は、毎回発見の連続です。
それぞれの方が出会った場面の一部が見えてくる言葉のなかに、自分が気づかなかった視点や光の当て方があります。

加えて、わたしにとって多職種の事例検討は、「職種」ごとに当てはめていた先入観や人格像のようなものを取っ払う大事な機会にもなっています。
怖いと思っていた(!)お医者さんや看護師さんの人柄に触れて、尊敬を新たにすることもありますし。
お仕事の中身をよく理解していなかったと気づくこともあります。そういうこと、たくさーんあると思うのです、まだまだ、介護職同士でも。


事例検討の中身はお伝えできないのですが、
わたしたちのグループは、いつも通りの暮らしがむずかしいと感じ始めたときに、地域の中に複数ある医療機関・福祉拠点に連絡する、だけでない、まちの目(大川団地の自治会のような!)が必要になるよね、でもどうやって築いていくのか…というところで時間がきました。

「国分寺を終の棲家にしたい」と言っていた方や、
「あの人、ちょっと最近表情がちがうんだよね」と言っていた方の顔を思い浮かべながら、帰りました。


次回は、「国分寺介護道場」での研修の様子をご報告したいと思います。

2019年11月20日水曜日


はじめまして。
訪問介護ことりです。


訪問介護ことりは、国分寺市東元町にあるちいさなちいさな訪問介護事業所です。
ここでは、わたしたちの取り組みや出会った方とのエピソード、日々感じていることのほか、大好きな国分寺でのことなどをお伝えしていきたいと思っています。


まちの中でそれぞれの人が「自分の人生を生きている」と感じながら暮らしていくことを応援したいと思い、事業所を立ち上げました。

はじめて「ことり」に訪れた方からは、
「ここは何のお店?」
「カフェですか?」
「焼き鳥屋さん?(笑)」
「鳥の介護をするの?」と言われたりします。

緑の多い入口や事業所内の大きな黒板、友人たちがプレゼントしてくれた鳥グッズなど、パッと見た感じ、多くの人が思う介護事業所とは異なるのかもしれません。
(ちなみに事務所には鳥はいません^^)

バス通りに面していることやバス停の真ん前にあること、わたしたちが必要としているよりも広いスペースであることもあり、地域の方がふらりと訪ねて来られるような場所にしたいと考えていました。

そして、山あり谷ありの「介護」の時間を過ごしている方や
「介護は自分には関係ないこと」と感じられている方、
それからいろいろな情報の中にあって「年をとることは怖いこと」と思われている方それぞれに、
少しでも身近に感じていただいたり、介護に対する印象が変わったりすることができたなら…と。
(実際には、自分たちが多くの時間を過ごす場所なので、気持ちよく仕事ができる場所にしたかったという面も多くあります!)


不定期的な更新となりますが、どうぞお付き合いください。